2022年04月18日

世にも奇妙な

「この春、息子が小学校に入学しました。振り返って、息子の誕生のことを、きちんと神さまに御礼していなかったので、改めて御礼参りをさせてください。」

そのような趣旨での、予約のお電話だったかと記憶しています。

当日、廣前にて、数えで7歳になるお子さまについて奉告をし、また七五三の言祝ぎを祝詞に変えて、奏上致しました。

次に、ご相談の予約も承っておりましたので、そちらの相談用紙に目を落としました。

 

ご相談用紙には、次のようなことが書かれてありました。(私が要約しています。)
•息子が、今年2月に右足首を骨折し、治りが遅いと言われて心配している。
•実は4年前、霧島東神社に家族で参拝に行った時、息子が参道に入る鳥居付近で、クモを足で踏んで殺してしまったことがある。アリさえ怖がる息子が、「このー!このー!」と言いながら、何度も何度もその蜘蛛を踏んづけていた。その場ですぐに息子に止めさせて、それを咎めたのだが、本殿に参拝し、引き返すその途中、さっき殺生をした全く同じその場所で、息子が転んでしまった。
•不思議なことに、全く怪我はしなかった。それどころか、転ぶその状(さま)を、夫婦共に現実的にはありえないスローモーションのような状態で、しっかりとこの目で見た。
•現在の骨折の治りが悪いのは、4年前の不思議な体験と何か関係があるのか。

と言う内容でした。

 

私はいつも、氏子さまに御記入頂く、相談用紙に目をやりながら、或いは、直接お話を拝聴しながら、おおよその解答(御神託になるであろう内容)に先に気付いています。

ところが、このご相談に関しては、全くイメージというか、アイディアというか、御神託になり得そうなことが浮かばなかったのです。

内心『ピンチ!分かるかなぁ。言葉が取れるかなぁ。』なんて、焦ったまま、平常心を装い、いつもの出たとこ勝負で、神殿に向き合いました(笑)

 

しかし、さすがは大神さま。
私の心配など、無用だったのです。

 

以下、御神託です。
「その蜘蛛はなぁ、不浄の化身そのものじゃった。例えば身勝手なレベルの人間のなぁ、“お参りしたのに、不合格だったじゃないか!”とか、“願掛けしたのに、死んでしまったじゃないか!”とか、“しょっちゅう(参拝に)来てるのに、全然結婚出来ない!”などのなぁ、利己的な負の想念の塊りじゃ。それが、参道に入ろうとチョロチョロするもんだから、聖域が汚されて仕方がない。それを嫌った霧島東神社の神が、純粋である子どもを役立てて(利用して)、踏みつけさせたのじゃ。
欲もなく、素直な息子になら、知らせを掛けやすかったんじゃ。
そして、スローモーションの話じゃが、当然、殺された蜘蛛は、踏みつけた息子に対し、仕返しを目論んでいた。
ところが、そこも想定内の霧島東神社の神は、その仕返しに即興で対応出来るよう、構えておった。だから、転倒させられた息子が、ふわりと怪我をせずに回転したのは、霧島東神社の神の御守護を受けてじゃったなぁ。」

「それと、もうひとつ理由がある。
その理由じゃが、神代の世界を信じないそなたの夫に神の存在、視えない存在を信じさせるための、計らいなり。自分の目で、また夫婦揃って同時に不思議な体験を目の当たりにしたわけだから、もう否めないな。霧島東神社の神が、見せてくれたパフォーマンスとも言えるなぁ。」

 

ご神託を降ろした後、私は自分の言葉で、次のように伝えました。

「霧島東神社の神が、息子さんに”ひと役かってもらったなぁ。すまんなぁ。”と言われていますよ。」

 

なんとも不思議な事象に、なんとも不思議なご神託でしたが、ストンと胸に落ちたことが、最善の解決で終えたと証明してくれたはずと自負しています。

 

霧島東神社は、性空上人が開山した霊験あらたかな鎮座地に存在しています。

 

主祭神である伊邪那岐尊(イザナギノミコト)・伊邪那美尊(イザナミノミコト)を始め、天照大神(アマテラスオオミカミ)・瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)・天忍穂耳尊(アメノオシホミミノミコト)・彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)・鵜葺草葺不合尊(ウガヤフキアエズノミコト)・神日本磐余彦尊(カムヤマトイハレヒコノミコト)など多くの神々が配祀されています。

 

それに隣接する御池も高千穂の峰も御神体となっているようです。

 

私が以前参詣に上がり、ちょうど階段を登り切り、今から真っすぐの参道に入ろうと差し掛かった時、御池に雄雌の龍が頭をもたげておれたかと思うと、ものすごい勢いでその参道の杉と鳥居の間を一直線に駆け抜けて行かれ、圧倒されたことを覚えています。

 

その後を、静かに歩み本殿に参拝したのですが、『もしかしたら、御神体の一柱である龍が本殿を離れ、元宮(御池)にお戻りになられていたけど、参詣者が来たことに気付いて慌てて所定の位置に鎮座されたのかも!(笑)』と思ったことがございます。

 

ちなみに、この参道を駆け抜ける龍のことを、

「あの参道は、御池から真っすぐ金色の光が走るよなぁ。」

と表現された整体師(20年程前、当時70代)の方もおられました。

 

私は、『この先生には、金の光で視えたんだな。そして、やはり私も見間違えではなかったんだな。』と思ったのでした。

 

効験がある分、霊験あらたかな神社ですから、中途半端な心で行かれますと、頭痛を覚えたり、また高千穂の天安河原のように入口で歩行中に金縛りに合う方もおられる程です。

 

最も、霧島東神社に限らず、聖域に足を踏み込まさせて頂く身としましては、礼節のみならず何より心を正し行くのが真の姿勢なのですが。

 

それにしても、冒頭の氏子さんの御主人に気付かされた計らいではないけれど、かく言う私もしばらく霧島東神社へは足が遠のいております。(正しく申し上げますと、多忙でどこにも行けていないのですが…。)

 

黒木宮司には、数年前、うちへ大正天皇のお孫さんがおいでの時、霧島東神社を参拝したいとのことで、車いすということもあり過分にご配慮賜りました経緯がございます。

 

感謝は、いつまでもずーっと感謝ですから、「また足を運びなさいよ」と、大神さまから私へも受け取れるエピソードでした。