2026年01月29日
産土神頼もしさとは(其のニ)
「私が心配のないように取り計らってあげるから。」
女神は『そんなことなら朝飯前よ。』と言わんばかりの口調でした。
そして自ら一肌脱ごうとおっしゃるのです。
私は聖香さんに、視えたこと聞いたことを伝えました。
一方で
「でも、どうして八百万の神の中からこの女神なんだろう‥。」
と疑問を持ちました。
すると女神が即答しました。
「あなたにはいつもお世話になっているもの。この地域の安寧を保ってくれてありがとう。」
「あなた‥?」
ここで私はピンときました。
そう!
聖香さんはこの女神の鎮座する地域で保健師として勤しんでいるのです。
「聖香さん。今回女神が力を貸すと名乗りを挙げてくださったのは、聖香さんへの日ごろの感謝があるからだそうです!お仕事とはいえ、確かにあの地域に深く貢献なさっておられますものね。きっとそのご褒美なんですよ!」
「ありがたいです。早速書類を持ってお参りに行きます。」
聖香さんの目には涙が潤んでいました。
そして後日‥
今度は聖香さん、
“手術成功並びに病気平癒祈願“
のため改めて廣前にお運びになられました。
「金城先生!あれからすごい展開でした。今、父はある病院に入院させてもらっています。」
「そうでしたか。私もその後を案じておりました。町中は感染症も流行っていますからね。」
「近所のある方に父のことをお話ししたところ、その方のご厚意からいろんな人を介して今の病院に手術前まで入院させていただける運びとなったんです。驚くような展開に神さまのおかげだと驚いています。」
「そうでしたか。聖香さんのこれまでの地域への尽力、また素直に参詣に行かれた真心に恩頼(みたまのふゆ)が届いたのですね!」
「はい!それから‥」
急に聖香さんが声のトーンを変えて話を続けました。
神殿は何やら神妙な感じに包まれました。
「実は、これまでの話を父にも聞かせました。そしたら父は小さい頃、よくその神社で遊んでいたと言うんです!」
「え?じゃあ、女神とのご縁は聖香さんだけではなく、直でお父さん自身も?」
「はい。そこは父の実家がある地域でもあるんです。ただ、上と下(かみとしも)でだいぶ離れているので、まさかその神社に父がご縁があったなんて思ってもみなくて‥。ましてや父が子どもの頃、よく遊んでいたなんてことも知りもしませんでした。」
「そうなのですね!ということは、女神はお父さまにとって産土神ではありませんか!産土神はその地域で生まれ育った人間が歳をとっても、たとえ外国に引っ越したとしても生涯ずっとお守りくださるのですよ。だからお父さまは、今、鹿児島市内に居住されていますが、ここいちばんという大病に際して名乗りを上げてくださったのですよ。」
「ありがたいですね‥。」
「本当に、ありがたいことです。また経過の報告なども併せてお礼参りに行かなければなりませんね。神さまにご贔屓にしていただけるって幸せですよね。お父さまが小さい時、お宮で遊んでいる姿が可愛くて女神も特に覚えていらっしゃったのかもしれませんね。」
私までじんわりと温かい気持ちになっていました。
すると聖香さんが今度はなんだか申し訳なさそうにしています。
「どうかしましたか?」
「はい。それが‥。言いにくいのですが‥。」
「どうぞお気になさらずに何でもお話しください。」
「はい‥。それが、父はお宮でよく野球をして遊んでいたそうなのですが、“お社に当てたらホームラン、当たらなかったらアウト”というルールだったそうなんです…。」
私は一瞬、目が点になりました。
「ん?なんですか、そのルールは!それなら当てに行きますよね!当てちゃダメなのに!」
私のひと言で厳かな雰囲気は弾けました(大笑)
「そうなんですよ!考えたら罰当たりですよね。」
「あはは!ホントホント!!せめてルールが逆ならね!」
そう言いながら、私は自分の中で『依代神』である瓊瓊杵命さまが
『良い良い。子どもは神からの預かりもの。きっと女神も我が子のこととして目をつぶっておろう。』
と思っていらっしゃるのを感じほっこりしていました。
このエピソードから、日向高千穂神道の氏子の皆さまが『産土神』というありがたい存在について今一度感じていただければ幸甚です。
またこのように公開することをご快諾くださった聖香さんへの感謝もお忘れなく‥。
そして、お話しに登場していただきました聖香さんのお父さまの手術ですが本来なら明日の予定だったところ、本人のコンディション含め諸事情にて執り行う日を再調整することとなりました。
そこでどうぞお優しい氏子の皆さまの思いが集まれば仕切り直しての手術の成功、また予後もきっと良好かと思われます。
少しばかり聖香さんのお祈りに皆さまの想いを重ねていただけると幸いです。
此度も御精読洵にありがとうございました。

