2024年06月12日

ある日の車祓にて

先日、弟さんの車祓いをお申し込みされ、その時もご同行くださった清子さん(仮名)から、

「今度は妹の車のお祓いをお願い出来ますか?」

とご予約がありました。

 

「はい。もちろんですよ。謹んで承ります。」

信頼ある氏子さんのひとりである清子さんのお申し出を私は快諾いたしました。

 

 

そして当日、妹の舞さん(仮名)と清子さんが廣前にお越しくださいました。

アイドリングトークが終わり、鍵と車検証を預かり三方に載せます。スムーズに儀式が斎行できるように、玉串と交通安全御守りなどの授与品は前もって用意しておりました。

『いつからかなぁ。鍵もスマートキーで、車検証も小さくなった。時代だよなぁ。これなら車祓いは、三方も六寸のサイズで足りそう。』

※三方(さんぼう)とは、神棚に供える供物などを載せるための台のこと。
※六寸は約18センチ。

 

そんなことを考えながら、

私は祓串を手にしました。祝詞を奏上する前に、お二方の浄めをするためです。

こちらから促さずとも、ご低頭くださった清子さんと舞さんの頭上で左・右・左の順に祓串を振ります。

その時の私は一向に(ひたぶる)に『無』であるのですが、『無』である時にこそ勝手に霊視のスイッチが入ったりするものです。

 

 

「あれ?うん?黄金糖?あの、今ですね‥。」

 

粛々とした雰囲気の中、突然私がこう切り出すと驚いたお二方はさすが姉妹と言うくらいのピッタリとしたタイミングで、同時に顔をお上げになりました。

しかしながら、私がひとりで空を視ながら確認していても、何を言っているのか理解が追いつかない清子さんと舞さん。

当たり前ですが、『?』という反応。

 

ところが、すぐに清子さんが
「あっ!この人、昨日、黄金糖食べてました!」
と曝露してくれました(笑)

 

その声を聞きながら、私は更に霊視をさせられます。

 

向かって右側に彼女たちの亡きお父さん、そして向かって左側に高齢女性が姿を視せてくれていたのです。

私が右側の方をお父さまだとすぐに分かったのは、過去のご相談のときに遺影を見せていただいたことがあったからです。

でも左側の高齢女性を私は知りません。

すると大神さまは、この高齢女性を右側に立つ亡き父親の母親、つまり清子さんと舞さんの父方の祖母だと私に教えてくださいました。

 

 

そのタイミングで、霊視させられたことを『霊査』して言葉にまとめ、お伝えすることにしました。

 

「失礼しました。今、舞さんの頭上で祓串を振ったら、どういうわけか黄金糖が出て来たんですよ。それでその後、亡きお父さんとそれからお父さんの方のおばあちゃんが後ろに立たれたんです。黄金糖をおばあちゃんが食べたいって言ってるようですから、お供えなさってくださいね。ところで、“黄金糖”って飴ですけどご存知ですか?」

 

私がこのように伝えると、

「先生、この人!昨日、その黄金糖を食べたんですよ!」

と清子さんが妹の舞さんの方を見て言われます。舞さんは、『確かに』と言わんばかりに二度三度うなずいていました。

 

清子さんは続けます。

「昨夜、二人でご飯食べに行ったんです。食事後に“飴をどうぞ”ってもらったんですが、私はかわいい飴があったのでそれをもらって食べました。でも、妹はあんなにかわいい飴がたくさんあるのに、その黄金糖を手にしたんです。私は“また変なのを取るなぁ。”と思って見てたんですよ!」

 

飴のチョイスをディスられた舞さんが苦笑いしていましたので、私も苦笑いをしながら助け船を出すことにしました。

 

「それはすごいですね!舞さんを通じて、おばあちゃんが食物供養をお願いされたのですよ。きっと、昨夜舞さんが黄金糖を手になさったところから供養は始まっていたのでしょう。ところでこの父方のおばあちゃん、凛と筋の通った生き方をなさった方だったでしょうか?大神さまは、父方の祖母だと言われましたけど?」

 

「だよね。鶴ばあちゃん(仮名)だよね。ピシッとしてたもんね。」
姉妹で顔を向き合わせて確認なさいました。

 

「じゃあ、間違いないですね。」

 

「びっくりです!そんなことあるんですねぇ。」

 

「はい。ありますよ。これまでも、例えば‥そうですねぇ。ある方は焼き鳥の“ねぎま”でしたね。ねぎまが視えたので『亡きお母さんが焼き鳥のねぎまを食べたがっていますよ。』とお伝えすると、ハッとされて『昨夜、私、すごく食べたくなって買いに行って自分だけ食べました。お供え‥、もちろんしていません‥。』というエピソードもあります。で、そうやって私がお伝えしますでしょう?すると、また不思議なんですが、私には“ねぎま”のお礼が故人からあるわけですよ。どんなふうにかと言うとその時はですね、その晩、奉務が終わりゆっくりしていたリビングで、たまたま我が家の子どもが観ていたクレヨンしんちゃんのアニメの中でした。しんちゃんがお母さんとケンカして家出をするんですが、お腹を空かせても意地を張っているところにお父さんが迎えに来て、『お腹空いただろ?』って家に連れて帰る前に焼き鳥屋に立ち寄り、しんちゃんが泣きながらねぎまを食べるというシーンでした。偶然とは思えないでしょう?故人が『ねぎまを伝えてくれてありがとう。』って言われたんだと思うんです。他の方のことでも、似たような事は今までたくさんあるんですよ。」

 

私は続けます。

 

「そうそう。お供えに関してなのですが、私は普段、『故人にお供えしたものは食べないでくださいね。』と申し上げております。でも、今回のように特別な食物供養をするときは、30分以内に下げて召し上がって欲しいです。その時必ず、『私を通じて一緒に味わってね。』と声かけをしてください。そうすると故人が本当に味や食感を得られるのです。」

 

清子さんと舞さんは、ただ感心なさっておられました。

 

 

「さて、前振りが長くなりましたが、『交通安全祈願、並びに車浄め祓い』を斉行しましょう!」

雨の予報が出ていましたが、最後まで降ることなく、滞りなく修祓を終えることができました。

 

その日の夜、お姉さんの清子さんより、『忙しい中で車祓を受けてくださったことありがとうございました。また祖母のお供えのこと、飴のことも分かってよかったです。』というような総じてのお礼のメールが届きました。

 

真面目に読んでいたのですが、私は最後に吹き出してしまいました。

 

なぜかって?
だってこんな一文があったのですから(笑)

 

「あっ、後で妹が言ってました。
あのとき、黄金糖を取って食べたけど、なんで他の飴を取らなかったのかと後悔してたんですって!笑笑」

 

 

■さて、ここから下はお知らせです。

ホームページのご予約のところにも掲載しております通り、来月より期間を限定せず奉務のお休みをいただく予定です。

拙著を出版するにあたり、推敲作業に集中したいからです。

版元であるKADOKAWAさんの敏腕編集者さんたちからは、「金城先生の文章は手直しするとしたら、句読点くらいだと思います。」とおっしゃっていただき、プロからの畏れ多い言葉に驚きました。しかし、私はまだまだ自分では納得していません。

 

先日、ある氏子さんより
「私は本を読まないのですが、金城先生の本なら読みたいです!」
という言葉をかけていただき、多分にやる気が出てきました。

 

本を手に取ってくださる皆さんのために、私の最大の努力をしたいと思います。

ご理解の程どうぞよろしくお願いいたします。(どうしてもお困りの時はご連絡してみてください。)

 

今月末は夏越しの大祓ですね。現代では全国の神社で恒例の行事となっています。

そのような繁忙期の中、北海道のとある八幡神社に奉職なさっている現役の神職さんが再度お運びくださることとなりました。本当に光栄なことで嬉しくて、廣前にお越しくださる日を指折り数えているところです。

 

紫陽花もあちらこちらで色とりどりに見頃を迎えています。

さぁ、今年ももう半分が終わろうとしています。

皆さんは令和6年の後半をどのように彩りますか?