2020年12月18日

武勇伝 其の三

子ども環境管理士の試験も終わり、保育士の二次試験まで残りひと月を切りました。この時点ではまだ、一次試験の合否や二次試験の受験票など届いておりません。検定試験などもそうですが、せいぜい二週間前くらいにやっと郵送されてきます。結構ギリギリですから、心配になりますし、いまいちモチベーションを上げられません。

 

それでも、一次試験の自己採点結果を受けて、二次試験の実技に向けて練習を開始しました。

 

私は、先に書いた通り絵心がありませんから、言語を選択しました。
ここで言う言語とは、“素話”とか“口演”とも言われます。絵本や紙芝居など使わず、身振り手振りでお話を進めて行きます。しかし、余りにも表現がオーバーになってしまうとかえってマイナスになります。お話の内容より、話し手に意識が向いてしまうからだそうです。

 

毎回設定が違うのですが、私が挑む二次試験は、“お話を三分間にまとめて、オリジナル台本を作り”、それを“三歳児15人程度の子どもの前で口演する”という条件でした。課題となるお話がいくつかあり、その中からひとつを選択して臨みます。試験官と向き合う形で、間に子どもたちに見立てた椅子を用意するということでした。

 

私は、『大きなかぶ』で勝負することにしました。

 

三歳児は、お話の内容や展開はまだよく分かりませんから、オノマトペ(擬音語、擬態語)を上手く活かせる台本です。

 

間をきちんと取らなかったり、つい早口になったりしますから、ストップウォッチで計りながら、三分間のテンポを身に付けました。
次は、身振り手振りを程よく加えた練習をしました。
そして、子どもたちの前で実践です。ゲームに高じてばかりの小学生の息子も
「僕、赤ちゃんじゃないんだけど。」と照れ笑いしながら練習に付き合ってくれました。

 

でも、最大の味方は、大きな保育園の副園長で現役のベテラン保育士でもある日向高千穂神道の氏子さんであり、また以前息子の担任を務めて頂いた保育士さんでした。

 

私が一次試験を突破したことをお伝えすると、難関だということを御存じだからこそ、とっても驚かれ喜んでくれました。そして、これから二次試験を控えていることを申し上げると、本当にありがたいことに私が懇願した訳でもないのですが、先生方の方からそれぞれ貴重なアドバイスを頂きました。

 

副園長先生は、『どういう趣旨か分かりませんが、おこがましいと思いつつ・・』と謙遜されながら、お話の後に続けてわらべ歌や指遊び、話を膨らませるテクニックを丁寧にメールくださいました。
“緊張すると、余計に早口になって時間が余り、30秒ほど引きつった笑顔で試験官の方を見ていた。”と経験者談がネットに出ていました。それは、私には非常に恥ずかしいと思っていましたから、副園長のアドバイスはピンポイントで助かりました。

 

また、過去に息子がお世話になった先生からは、『大きなかぶは、繰り返し部分が子どもの心の掴みどころですよね。お母さんも楽しみながら、ファイトですよ。』と背中を押して頂きました。
オリジナルシナリオの中には“(かぶを)ひっぱって”という表現と、“うんとこしょ、どっこいしょ!”というセリフをリズミカルにリピートしました。
実際、3歳児よりもまだ幼いうちの1歳児の娘も、その部分だけはバカにしてんのかと思うくらいウケていましたし(笑)セリフもそこだけはハモっていました。流石、現役保育士です。よく分かってらっしゃる!

 

先生方、本当にありがとうございました。心より拝謝申し上げます。

 

おかげさまで、12月13日の当日を緊張することなく迎えられました。
今週寒くなる前の暖かい最後の日曜日でした。
またしてもの私の受験に、下伊敷町の“肉の名門 一真”の社長が勝負飯として『かしわ飯』を前日に差し入れてくださいました。
これは本当に美味です!実はまだ商品化していないそうなのですが、もう充分完成しています。鹿児島では超有名なホテルに卸もされていますから、品質は勿論、社長のお人柄も上質ということです。それが故に、志が高いのでしょう!他にも美しい精肉、まん丸で可愛いコロッケや味の良い唐揚げなどございますので、是非一度ご賞味ください。遠方からお求めになられる方も多いことに納得しますから!

 

ガイダンスが8時45分からありましたが、私の試験時間は11時26分と目安が出ていました。会場は志學館大学で、1階のカフェテリアが待機所になっていました。
二時間以上も待つのは長く、かと言って声を出しての練習は禁止、出来ることがありません。暇だな・・と思っていると、よりによって私の近くにヤバい奴が来てしまいました。

 

『外に出よう。変な気をもらいそうだ。(笑)』と思い、付いて来られないようにそこを後にしました。祓い給へ清め給へと。

 

写真にあるように、高台に位置する志學館大学からの見晴らしは絶景でした。
こうなってくると、一真のかしわ飯を食べない訳にはいきません(笑)まだ、10時にもならないのに、おにぎりにしてきたそれの二個目にも手を出すところでした。

 

何にもすることがないので、持って行ったショールの毛玉取りを始めてみるといつしか夢中になってしまい(どんだけの毛玉よ)、試験室の近くで待つようになっていた11時の10分前になっていました。私の相手をしてくれた毛玉たちに別れを惜しみ、二階試験室へ急ぎました。きっと、生涯で毛玉に感謝するなんて後にも先にもこの時だけでしょう(笑)

 

囚人のように受験番号を呼ばれ、試験室の廊下で自分の順番を待ちました。私の前は、男性でした。漏れてくる“三匹のこぶた”の話に聞き入っていると、あっという間に私も案内されました。

 

この二次試験は面接も兼ねているようで、小学生の頃、職員室に入った時のようにノックをして軽く会釈し入室。「失礼します。」と一礼して、試験官に受験番号が記載してあるシールをそれぞれ渡し、荷物を置いたら氏名を聞かれ応えて、合図でストップウォッチをスタートされました。私の座る椅子の前には、子どもに見立てた小さな脚立が二つ幼児の絵を貼っておいてありました。その向こうに試験官たちです。

 

「大きなかぶ。むかーしむかし、おじいさんがかぶをうえました。」
タイトルを言う時の、第一声が大きく出ました。良かった!会場に入ってから、声を出しての練習は不可、また誰とも話さず、数時間経っていましたので声が小さくなってしまうのが怖かったのです。

 

上手くいきました!!
前日の夜、子どもたちはもう飽きて相手をしてくれなくなっていたので、ちび娘のアンパンマンやノンタン、クレーンゲームでゲットした訳の分からんぬいぐるみたちを前に並べてひとり淋しく最後の練習をしました。相手はしてくれないくせに、その光景を盗み見していた娘から“きもっ”と言われました。

 

当日の朝、「お母さん、イリュージョンしてくる。試験官に“視える!!視えないはずの子どもが視えるわ!”って、言わせて来るからね。」と言うと、鼻で笑われたのですが、ちゃんと目線は下に笑顔で声色を上手に変化させながら
「とうとう、かぶが抜けました~!!おしまい。」
「かぶは、お漬物にするとおいしいよ~。ポリポリポリ。」
と、ここでぴったりと試験官の計る三分間のアラームが鳴る(私的には)パーフェクトな内容でした。

 

「ありがとうございました。」
一礼して、さっきと逆の動作で退室しました。

 

アラームと同時に試験官たちが頷いておられたのをしっかりこの眼で捉えましたから、「よし!終わった!!よし!」と心を小躍りさせながら帰路に着きました。

 

立て続けのお便りは、それから一週間以内で次々奉製しています。

 

あれだけの勉強量が、まだ習慣づいていますから、何もしなくていい今が何故か罪悪感を覚えます。子どもたちに「どうしよう。お母さん、今日勉強してない。」と言うと、「は?何言ってんの。いんじゃね?」とあしらわれました(笑)

 

しかし、私にはあと二つ取得したい国家資格があります。今後二年にわけて、確実に“一発合格”で会得したいと目論んでいます。

 

私の諸々の試験結果が出るのは年明けになります。
そして、日向高千穂神道の氏子さんには、年明けより国試や高校入試、大学入学共通テストを受験される方々がおられます。
だから私も一緒に、今年を振り返るのは全て終わってからにしようと思います。

 

受験生の皆さま、いつまでも受験勉強地獄は続きません。
終わらせるためにも、確実に突破しましょう!!
頑張れー!!