2021年07月01日

試される霊査力(其の二)

「初めてですが、時間外でもいいので、予約をお願いします。大汝牟遅神社の宮司さんの紹介です。」

 

若い女性の声で、留守電が入っていました。

 

掛け直すと、
「突然、すみません。お参りをしていたら、宮司さんに『あんたは、視える人ね?』と声を掛けられました。少し内容を話すと、『それはもう、この先生に相談しなさい。』と言われ、連絡しています。」

 

「そうですか。分かりました。では、その時にお話を聞かせてくださいね。」

 

私はいつものように“出たとこ勝負”をすることにし、先入観が入らないように電話を簡単に切り上げました。

 

週明け、来宮されたUさんの話を、先ずは傾聴することにしました。

 

「今、私に憑いてるものが、良いものなのか、悪いものなのかが分かりません。6年前、大学生の頃から急にいろんなことが当たるようになったんです。それを教えてくれる存在がいて…。」
という趣旨でした。

 

私はそれらの話を伺いながら、彼女の周りを視ていました。
『彼女の身体の左側に二体、そして右側に一体いるな…。この右側の“ヤツ”が厄介そうだ。』
と思いながら、最後まで話を聞き終えてから言葉を掛けました。

 

「Uさん、結果から言うと良くないですね。憑いていていいものではありません。先ず、全て浮遊霊です。神ではありません。Uさんの左側奥にいる人は、対して影響ないのでほっといていいですが、左手前に堕天使がいます。これには、聖書を御守りとするのが有効的なんです。聖書、持ってませんか?」
と言うと、
「持ってます。押入れの奥にしまい込んであります。」
と、言われました。
『堕天使が憑いてるんだもん…だろうな。』
そして、確認の為、敢えて聞いてみました。
「大学は?どこだったの?」
「純心です。」
『やっぱりね…。』と思いながら、以前の神職のお便りに、掲載した【神道なのに】の内容をお教えしました。

 

こうやって、私なりの統計学は定まっていくのです。

 

「まっ、それはいいとして、問題はUさんの右側にいる人よね…。」
私は続けました。

 

「年の頃は、35くらいかな。とにかく口の上手い男性だね。たまに営業マンにさ、こんな調子のいい人いるよね。そしてね、ちょっとUさんのこと好きみたいなんだよね。」
と、そのイメージを伝えました。すると、
「確かに、いろいろ口出しして来ます。好きな人のこととか。やめとけとか、あいつはこう思ってるとか。でもそれがよく当たるから、良い存在なのかと思っていました。」

 

人の良いUさんに、なんだか私の言葉が地になってしまいました。

 

「いや逆!逆!!あのね、こんな狡猾な霊は、めっちゃ味方するのよ。とにかく、上手いの。反対もしない、煽りもしない、褒めて、応援して、とにかく警戒させないようにして、信じ込ませるの。でも、虎視眈々とターゲットを落とし込む時を、狙ってるのよね。動物霊もこうあるよね。稲荷もよくないもんね。」
と言うと、なんとなく当てはまるかも…という表情をしながらも、
「えっ、稲荷は良くないんですか?よくお参りに行ってた…。」
と聞き返されました。

 

「そうだよ。もちろん、伏見稲荷大社などはいいよ。鹿児島で言えば、桜島の月読神社境内にある、白玉正直稲荷もOKだよね。でも、稲荷大明神とかは、ちょっとね…。なんでかと言うと、“願いはかなえてやるけど、換わりにお前の目玉をやれ”っていう世界なんだよ?そもそもね、神っていうけど元は眷属霊(けんぞくれい)。人間が楽に手前だけで参拝を済ませようとした結果、勘違いした眷属霊が独立して神になってしまったの。そうそう、さっき話した月読神社は、大汝牟遅神社の國生宮司のお兄さまが宮司をしておられるよ。なんか繋がるね。」

 

私は続けました。

 

「ほら、さっき、この霊は、あなたのことが好きだって言ったでしょ。だけどね、結果、味方してるふりして、実は全部壊されていくんだよ。Uさんが、『私の人生だから、私が自分で決める!』くらいの思いがないと、この霊は離れないよ。ましてや、頼ったり、耳を貸していてはいけないよ。」

 

更に続けました。

 

「霊が恋をするなんて信じられない?でも、するんだよ、元は人間だからね。そう言えば前ね…、19歳の男性が身の危険を感じて、御相談に来られたの。その時の相談内容だけど、『昼寝をしていた時、金縛りに合いました。その時、横に置いていた携帯が、カシャって写メを撮った音がしたんです。あとで確認すると、“僕の携帯が、僕の携帯の写メ”を撮っていました。(私もその写真を確認)その時から、誰かが僕に憑いているんです。』って言うのよ。この男性は割と霊感の強い方でね、もちろん作話なんかじゃないって分かったからね。しかも、このままだと、この男性の彼女が、そのうち命狙われるかもってすごく思えたの。そこで、私は、対処法を取り敢えずお伝えしたのね。そして、『しばらく彼女には家に来ないように伝えてね。』というと、『彼女が家に来ようとすると、急に熱が出たから来れなくなったとか、来る途中で事故に遭ってしまったとか、続いていました。』というので、『あぁ、やっぱり。実はね、あなたに憑いてるのが女性の霊なのよ。だから、彼女に焼きもち焼いてるの。』って言うと、『そんな気がしてました。』って。そこで私はその女性の霊に、彼の身体を通して、聞いてみたの。『いつまでもこうしてるわけいかないよね?どうしたいの?』と。そしたら、泣くの。悪霊じゃないなって、この霊も苦しんでいるんだなって分かったから、強制浄霊ではなくて、交渉したのね。『私が浄化の手伝いすることも出来るけど、どうしたい?』って。そしたら、彼から離れたくないって言うから、そりゃいかんって条件を出したのね。もう、霊媒っていうより、ネゴシエーターなんだけど、『じゃあ、一日彼とたっぷりデート出来たら、思い出を持って上がってくれる?』って。そしたら、分かってくれたの。そこで彼に、『次の休みの日、隣にこの女性がいる前提で、デートコースを決めて回ってくれないかな?』とお願いしたのね。それを実行してもらったら、きちんとこの女性の霊は約束を守って浄化の途に就いてくれたようで、そのケースは終結したんだよ。」

 

Uさんに、しっかりと現況を認識してもらう為、私は更に別なケースの紹介をし続けました。

 

「ある男性がね、時間外でいいから、早く視て欲しいと切羽詰まって連絡があったのね。で、次の日18時半においでになることになってたんだけど、その15分くらい前かな。電話が掛かって来て、『パンクしましたので、来れません。』って言うの。場所を聞けばすぐ下の道路なんだよ?その時、ふと、この方が予約の電話の際に“お祓い”と言うワードを出していたなって思い出したの。『あー、憑いてる何かが、うちに来らせないように邪魔してるな。』と思ったから、『そこから取り敢えず、歩いて来られたらどうですか?このままいらっしゃらないと、キャンセル料が発生しますよ。』って言ったのね。そしたら『キャンセル料は払います。また、予約を入れ直していいですか?』と言って来たの。『分かりました。それでいいなら。』と私もそれ以上を求めなかった。

 

きっと、来ないな…。
…霊が邪魔してくるかもしれない。
そう思っていたのね。
浄化されたくない霊にとっては、うちの神殿は刑務所?死刑執行所だろうから。

 

よし、掛けてみよう!

 

次の日、予約を取り直したその男性はちゃんと来られた。
『よく来れましたね!もう大丈夫ですよ。』そう言って私は霊視を始めさせられたのね。

 

視えたのは、先ず、暗がりの中で、パソコン画面がやけに煌々と明るくて、『夜中仕事します?パソコンで。』と聞いたら、『はい、そうです。』と男性が答えるわけよ。そしたらさ、そのパソコン画面から、女の人が出て来るの。霊波と電波の周波数は似てるから、よく霊障で家電製品に影響が出るものなんだけど、もうここは画面が完璧な霊道になってたのよね。で、『その人が、あなたに憑いてますよ』って言ったの。そしてね、この女性の霊もまた、この男性に恋をしていたの。私がその女性の霊に聞くと、“自分が生前好きだった人に似てる”って、“この人が欲しい”っていうわけ。で、男性に聞いたら『僕はこんな性格ではなかった。みんなとワイワイするのが好きなのに、家から出たくないし、家に一人でいたい。最近は特に理由もないのに、死ぬことばっかり真剣に考えてる。だから、周りがなんかおかしいぞってことで、先生を紹介されて来たんです。』っていうでしょ。『あー、これ、自殺と言う形で連れて行かれる典型的なパターンだなって、私が気付くのは容易いことだった。だって、この霊にとって、男性を独り占めする究極の形は、男性を自分の世界(死後)に連れて来ることだもんね。取り敢えず、私のやり方は先ず、本人に霊助けしてもらうことが前提だから、その方法を大神さまに聞いてお伝えしたの。そして、いつ暴走して、男性を自殺させるか分からないこの女性の霊には、私からちょっと強めに言い聞かせて、目を光らせておいたの。そしたら、一週間後だったかな、健やかに男性がお礼に来られましたよ。』

 

もうケースを上げてる時間も無くなりましたが、まだどこかで、“その存在”を離すことが少し惜しそうに思える様子のUさんでしたので、最後に警告しました。

 

「声が聞こえるようになって、もう6年ですよね。そろそろ、狙われますよ。豹変してきます。いいですね、耳を貸さないこと、夢中に・得意気にならないこと、自分の人生は自分で決めること、それが何よりの解決法です。こんな霊は放置でいい。浄化をしたがってなんかいないから。そんな霊に、私は費やさない。だって、Uさんがそう心持を変えればいいんだもん。他に術がない訳じゃないし。救いを求めて来ない霊に(人も)、こちらから関わることはないから。それに、Uさん、あなたが惜しいって少しでも思ってたら、私が手を掛けても無駄になります。」

 

まるで、ロミオとジュリエットでしょうか。
良くない存在だと分かっても、どこか非日常を楽しんでいるようにさえ、私には感じられて、大丈夫かな…と思っているところです。

 

後々、何かが起こり始めたら、その時に割って(二人の仲に)入るとするか…と老婆心に苛まれながら、霊視相談を終えました。

 

写真のアジサイ、珍しい色合いですよね。
思わず、車を停めて写メしました。

 

因みに私が基本、車を停める時は、そこにツワがある時です。
直ぐツワ取りに高じる為、待たされる子どもたちは、それが生える時期、私と車で出掛けたがりません(笑)
助手が欲しいのに~!

 

ヘチマにしても子どもたちは、
「なんでそんな土の味みたいなの食べるの?」
と、まるで爬虫類の捕食でも見ているかのように私を見ていますが、
ふふふ、大人になったら分かるんだよ(微笑)