2021年09月17日

解決しない方法

84歳の女性が来宮でした。
私はいつもこのように高齢の氏子さまが、お見えになる時、大変有り難いことだと心底思うのです。

 

今の日本を築き上げてくださった尊い存在の方々です。
私などせいぜい孫ほどにしか映らないはずなのに、きちんと私を『先生』と呼び、杖を付いて頼って来られる。

 

一生懸命運転して…
高いタクシー代を払って…
初穂料にきちんと新券を用意して…

 

いや、当たり前なんです。
こちらから、営業かけているわけではない。
具合が悪い時、医者を頼るように自分で望んで来られているのですから。

 

にしても、なのです。
だから時に、涙が出ます。
「ようこそ、おいでくださいました。」
と…。

 

私は、やはり医者にならなくてよかった。
医者は、絶対泣いちゃいけないから。

 

寄り添いたい私には、医者は向いていないと思い、福祉分野にシフトし、先ずは社会福祉士になる道を取りました。

 

そうして、私もかつて、高齢者福祉分野においては、老人保健施設の立ち上げから指導員として携わったり、また公的な立場ではソーシャルワーカーとして、実態把握から相談援助業務にも携わって来たのです。

 

介護職で夜勤もこなし、訪問入浴もデイサービスの指導員も経験し、また市より三名のうちのひとりとして、リフォームヘルパーに任命された時は、必要を感じ自分で『福祉住環境コーディネーター』の資格も取得しました。

 

保健師と『お達者クラブ』を立ち上げ、PTと『転倒骨折予防教室』も寸劇を交えて立ち上げました。

 

福祉分野での仕業(しわざ)としては他にも、精神薄弱児更生施設(現・知的障害児入所施設)や身体障害者入所施設で指導員として経験して来ました。

 

懐かしいな…(笑)

 

日向高千穂神道の氏子の皆さまの中にも、高齢者福祉に労いて(いたづいて)おられる方が大勢いらっしゃいます。

 

本当に日々、貢献くださいまして、ありがとうございます。

 

偉そうにすみません。
でも、自然に頭が下がるのです。

 

こんなふうに溢れる感情はいつも、神代の世界からだと分かっています。

 

「先生、娘が霊が付いているといいます。お祓いに来てください。」
その84歳の高齢女性が話しを始めました。

 

来談者の話が的を射なくても、限られた時間内で必要な情報を聞き出すことは、昨今の私にはそう難しいことではなくなりました。
経験の賜物です。

 

今回も高齢者との会話でしたから、アセスメントを繊細にかつ的確にこなしました。
以下、要約です。

 

◎その娘は54歳。20代の頃は、転職を繰り返してはいたものの、アルバイトなどで社会参加はしていた。
◎30代前半より引きこもり、それ以来一歩も家の外に出なくなる。
◎ 2階建ての自宅には、夫婦と娘が暮らしているが、娘は父親を極端に嫌うため、父親は常に2階に追いやられ、下に降りて来られない。
◎娘の弟は結婚し、家庭を持ち子どももいるのだが、その弟家族も実家へ寄ることが出来ないでいる。
◎しかしながら、その弟の子ども、つまり甥っ子や姪っ子が誕生日を迎えるとなると、この娘が勝手に店の予約を入れ、強制的に誕生会を開かせる。本人は不参加。
◎20年ほどの間、1度も入浴せずにいるため、髪の毛は固まっている。
◎以前、大学病院に連れて行ったことがあるが、医者が隔離室で一週間ほど様子を診ると言うと、娘が泣いて嫌がったので連れて帰って来た。
◎娘は自分に霊が付いており、この家にも霊がいると言う。

 

「霊も憑くだろうなぁ。こうもあれば。」
大神さまの御神託は、ひと言でした。

 

「お母さん、単純に考えて、神さまは清潔で綺麗な場所を好みます。そんな環境なら、霊も憑きますよ。そして、一度は病院に行かれたのに、なぜ連れ帰ったのですか?他に、代案もないのでしたら、お願いすべきだったんですよ。診断名が付かないと、支援や援助が受けられないのです。勿論、お薬を使うことも出来ません。私から見れば、統合失調症などの精神疾患があるのは明らかです。そしてそれは二次障害かオーバーラップ(重なっている)であって、更に探ると神経発達障害が潜んでいるとも思えます。おそらくASDでしょう。それも、自閉症スペクトラム症の方です。18歳以上なので、WAISという知能検査をしなければ分かりませんが、もしかしたら境界知能である可能性もあります。」

 

と、私の言葉で伝えました。(分かりやすく、咀嚼して飲み込むだけにして説明しました。)

 

それでもやっぱり、「お祓いを…」と言われます。

 

「もし、本当に霊障ならそうしています。そして、霊など憑いていなくても、お金取り主義ならそうするでしょう。たまたま私はこういう内容にも精通していますが、このようなことは、専門的な知識がない自称霊能者にかかると何でもかんでもお祓いに繋げられるでしょうね。お母さん、これはお祓いが解決法じゃないんです。どうしてもして欲しいのでしたら斎行しますが、それも今じゃない。おそらくもう、娘さんは病院は嫌って行かないでしょう。だからお祓いで、良くなってくれたらいいと思ったのですね。私を頼って来られたのはよかった。私は、正直にしていますから。しかしはっきり言いますと、娘さんは非常に困難なケースです。お母さんも分かっているはず。そして、一筋縄では解決しません。というか、お母さん。根幹にあるのが神経発達障害である以上、寛解と言って症状が視えなくなることはあっても、完治はしません。だから、敢えて解決しない方法を取りましょう。だって、お母さんは、娘に治って欲しい、でももっと言うと、自分が先に亡くなってしまった時の事を心配しているのですものね。ならば、敢えて今をこのまま診断してもらい、精神保健福祉手帳の申請と障害年金の申請をしましょう。治すことも大切ですが、要は娘さんが食べて行ける術を得て、それでお母さんの心配を取り除くことが先決だと思います。」

 

私はまだ市のソーシャルワーカーをしていた頃の内容が、多少は頭に残っていますから、どんな申請内容や助成金があるか、またその手順などをお教えし、地域の担当保健師にも情報を共有してもらうように導きました。

 

でも、どうだったかな…。
出来たかな。

 

せめてかかりつけ医があれば、そこのMSWなどが動いてくれる。
しかし、今回のように通院もしていない、本人が拒否するようなケースは、行政も消極的だし、精神科病院からも拒否されることがしばしばなのです。
そして、結局泣き寝入り…。

 

私がソーシャルワーカーをしていた時、忘れられないケースがありました。

 

70代の高齢男性から、「妻が、ひきこもりの息子と私を邪険にする。そして、この二人は肉体関係までしている。」と相談されたのです。

 

たまたま、掘り起こしをしたから、ケースに挙げられたけれど、窓口に待っていたら誰も知らないまま、父親が認知症扱いされて葬られていたでしょう。

 

あの時、私は担当保健師を引っ張り出しまして、訪問同行を願いました。腰が重いようでしたが。

 

そういえば、以前、やはり80代の両親と40代後半の娘が相談に来られました。

 

娘は、頭から大きなゴミ袋を被り、全身に纏っています。
夏の暑い日なのに、手袋もはめて、靴下は何枚も重ね履きしていました。

 

いつもそんな恰好をしているようで、皮膚疾患までひどい状態でした。

 

「こん子がなぁ、私が入った後はトイレもお風呂も汚れるっち言うてなぁ、使うたびに3時間、4時間っち、掃除をずーっとして、のさんと。」

 

明らかに強迫性障害です。
なのに、家族誰一人病識がなかった。
受診していないから、仕方ないのですが、ここまでひどいと一度ガツンと(表現が悪いかもしれませんが)薬を入れて(薬物療法)、落ち着いてから認知行動療法を取り入れていくべきなのです。

 

こうやって、救いを求めて来られてる方は、まだ救いようがあります。
私の信頼する医者を紹介し、診断と処方をしてもらい、私でよければ最後まで(寛解)するまで、寄り添うのに…、と思うのです。

 

病院には行かないけど、或いは中には病院に行ったけど、そこで不信感を覚えて行かなくなったパターンもあって、それで私を頼って来られる。そんな来談者が益々増えて来ました。

 

本当に不思議です。
昨年、発達障害児支援士を取得し、また保育士を国家試験で取得した時から、私は大神さまのプロデュースを受けていたのだと思います。

 

あれから計ったように、ほぼ毎日似たような相談があります。

 

「子どもが不登校です。受験生なので、この3つのどの高校を選ぶと楽しく行けるようになるでしょうか。あと、よくキレたり大声でわめいたりするので、どう接したらいいのでしょうか。」

 

本日、二件も同じような御相談でした。

 

子どもの不登校に関しては発達障害児支援士の、また進路指導では塾の講師時代の、そして子どもへの接し方には保育士の知識がとても役立っています。(他にも、社会福祉主事や社会福祉士、行動心理士の知識も役立てています。)

 

私は必要に迫られて、たまたま普通の神職では有り得ない守備範囲を持っていますが、
「それを知っておられて、ここをお訪ねですか?」
と聞き返したくなるくらい神殿の廣前にて不思議でなりません。

 

そして、現在私が学びを上げている内容も、こういった支援教育の分野の専門士です。

 

私は常々、自分が知識を得るのは、こうやって『人にお福分けするため』と考えていますから、新しい御相談者がこういった内容でおいでになることは、非常に嬉しく思います。

 

皆さまの周りにもし、苦しんでおられる方がいらっしゃいましたら、是非お声掛けください。

 

「情報は知識にあらず」
アインシュタインの言葉です。
どんな賢者でも、情報を知っているか否かは別物なんです。

 

人の縁って大切です。
そして、もっというと日向高千穂神道の氏子さまの縁は、神仏の縁なのです。

 

また、私に大神さまが次なる高みを目指させるために、与え越されているものには、どうしても精神医学を熟知していなければならない為、神田橋先生には指導を受けたり、意見を求めています。(神田橋先生との御縁も、氏子さま方=患者さんが行き来していた方が多く、自然と繋がりました、神仏の御縁です。)

 

先日、長崎の同級生殺害の女子を、あと3年、26歳まで収容継続の延長をするという新聞記事を読みました。刑罰では意味がないため、長期治療教育で矯正の効果が期待できると判断されたそうです。ところが、ASDであったことや、事件の凄惨さを鑑みるとそれは容易に言えないのではと、私は疑念を持ちまして、神田橋先生にメールをしました。

 

「神田橋先生、この記事を見て思います。ASDなら寛解はあっても、完治はないのに、矯正できると書いてあります。仮に矯正できる部分があるとすれば、反社会性パーソナリティ人格障害と、それの原因になっている愛着障害の部分ですよね。また、サイコパスは反社会性パーソナリティ障害とは別物なのですか?神代の世界から、私にさせられることの形が視えて来ています。」

 

「サイコパスは、昔の言い方です。同じものです。ASDは発育します。しかしある程度です。」

 

「やっぱり…。発達障害と愛着障害やその結果での境界性を含むパーソナリティ障害が絡むと、困難ですよね。最近は、神田橋先生のように臨床で患者さんを診るドクターがいないのか、DSM-5に則っただけの診断が多くて、私でさえ明らかに誤診だと思うことが数多あります。案の定、神田橋先生を紹介したら、ここでの御神託を含め、同じことを先生からも言われたと氏子さんが教えてくれますもの。誤診によって、まさかの薬まみれになり、三次障害を発症している方も多いです。神田橋先生のようなドクターがいなくて、困ります。私には、上から指示が降りて来ているのに、ひとりで焦ります。」

 

「愛着障害が原因の部分は治りますが、この子は無理かも。貴女の領域である可能性はあります。」

 

「さすが先生!実は、私もこの子は、霊障も強いと思っていました。サカキバラセイトも、かなりの霊媒体質です。」

 

「似ていますね。」

 

「はい、似ています。神田橋先生がおられてよかった。(私は、孤独に闘って来たから)涙が出ます。」

 

「歴史が書き変わることはないから。」

 

「はい。」

 

「どう活かすか、がテーマです。」

 

「そうなんです。最近思うことがありました。発達を疑う時、たいていの道はまず、検査をします。臨床心理士や公認心理師までが誕生し、WISCやWAIS、kーABC、田中ビネーなどしますが、基本知能検査であって、大切なのはむしろそれ以外。心理士の情報提供の範囲も、限られています。知的障害には特化しているかもしれないですけど。改めて、数字化、視覚化してはもらえても、知りたいのはそこじゃない。ある意味、知的な部分は(重度を除き)勉強しなかったり仕事をしなければ困らない部分なのです。しかし問題となるのは、そこではなく、特に家族が本人にどう接していいか、本人にどう理解してもらえるのか、またどんな環境がふさわしいのか、本人の認知の歪みにどう関わるべきなのか、そこが分からなくて、苦しんでいるということだと思うのです。その前提として、精神科の医者が正しい診断名を出してくれなければならないということが必須です。そうしないと、教員・保育士・PT・OT・ST・SW・PSWなど、支援や援助に関わり、結果を反映させていくことが出来るのは、実際医者ではなく、その人たちなのですから。(これを医者への逆襲と呼んでいます。)神田橋先生のように、そこを分かって診療してくださる医者はそういないように思えます。」

 

DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)が欲しい(笑)
先述したように病院受診はしないが、私を頼って来られる方の為です。(私が診断はしません)
話を聞き、その症状から疾患名をある程度把握しておかなければ、導けないからです。

 

「新患を紹介しました。問診をお願いします。」
と、神田橋先生以外の高名なドクターからもメールが届きます。

 

『いや、私は医者じゃないから、新患とか問診とか使わないで~。気安く返事したら、私が捕まるわ』と心で冷や冷やしながら快諾します(笑)

 

先日、某書店でそのDSM-5を手にして見ていました。
軽く二万円超す。

 

『欲しい。でも、思ってたより高い。う~ん、しばらく専門士の勉強が優先になるから、それが落ち着いてからにしよう。』と、思っていると、

 

「あの、すみません。お医者さんですか?」
と、50代前半位の男性に声を掛けられました。

 

「いいえ、医者ではないですが、どうされましたか?」
というと、
「200円、貸してくれませんか?明日以降返します。」
と、言います。どうやら、タクシーで帰るのに手持ちが足りないらしい。

 

「自分はパニック障害で、手帳も持っています。タクシー代は、一割引きになるんですが、どうしても足りなくなりました。谷山まで帰るのですが、困っています。」
と言い、手に持っていた手帳を開いて見せて来ました。

 

パニック障害自体で、手帳は出ないんだけどな。
そして、微妙な金額、200円…。

恐る恐る伺いを立てると言うより、すごくフレキシブル。

 

 

私は市のSWだったと、割引のことも手帳のことも存じ上げていますと、言うか考えましたが、今はその立場でないので手帳もまじまじ見るのもなんか悪いと思い、
「200円くらいでしたら、差し上げますよ。気をつけてお帰りくださいね。」
と、差し出しました。

 

いつもだったら、「足りますか?」と念のため、500円とか、千円差し出していたでしょう。

 

でも、“なんか”違和感を覚えたのです。

予感は的中しました。

帰ると思いきや、その人はまた本棚の列の中に入って行ったのですから。

 

その後、娘と合流し、今の出来事を話しました。
すると…。

 

「え?その人、私の横にいた人にもおんなじこと言って、500円貰ってたよ。」

 

やっぱりな…。
立派な詐欺ですよ。
少額なら、あげるってなりますよね。
返してもらうために、こちらの個人情報教えたくもないわけだし。

 

私は、その後、その店の責任者に今の出来事を申し送りし、帰路に着きました。

 

障害者手帳をそんな風に使うものじゃない。
これも、どこかの支援者・援助者が申請してくれたのでは、と思うと残念でした。

 

この出来事に遭遇させたのも、大神さまの何かしらの計らいでしょうけど…。

 

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