2022年06月09日

人口密度ならぬ

とても礼節の整ったお人柄が、見てとれる予約のメールを頂戴しました。

 

時間外の初穂料を快く承知してくださいまして、私も可能な限り早く廣前にお越し頂こうと調整を試み、その日を迎えました。

玄関にお入りになられた時、私はそのお方を30代後半から40代とお見受けしました。

 

ところが、いざ御神前で、相談用紙を拝見すると、20代後半の息子さまがおられることが分かり、驚きました!

 

私もこの年になって思うのですが、それぞれの人の顔つきは、その人の生きざまや、心持ちを顕著に表しているものだなぁと。
顔自体が、履歴書になっていくんですよね。

 

さて、そんなことを考えながら、ご相談事の解決に向けて意識を切り替えました。

 

ご相談は三件ございましたが、そのうちの二つについて、ご紹介します。
ご本人さまの御了承を得ています。

 

 

先ずひとつ目です。

これは、氏子さまご自身のことでした。

「左肩を運動で痛めてから、ずっと痛みは続いていたのですが、ここひと月ほど、特にそれがひどくて何か障りでもあるのではないかと思っています。」

 

「そうですか、分かりました。お訊ねしてみますね。」

神殿に向き直すと、静かに閉じた私のまぶたの内に、鮮やかなピンク色の花をつけた木が映し出されました。

 

私は振り向いて、
「ツツジか、サツキ?を切りましたか?」
と問うと、

 

「ツツジではないですが、ピンクの花が咲く木を、夫が切りました。」
とお返事なさいました。

 

「あー、ピンクの花だから、単純にツツジかなと思いましたよ。」
と私が答えると、

「あっ、ツツジみたいな鮮やかなピンクの花が咲いていました。」
と、言われました。

 

「なるほど、花の種類は違ったようですが、当てはめて頂いてよかったです。さてまぁ、切ったのはご主人かもしれませんが、障りはそれが障りだと分かる方、信仰心のある方、優しい方に起こりますからねぇ。」

 

 

どちらかというと、私も“知らせを掛けられる立場”ですから、この時少しだけこの氏子さんのことを『損な役割ですよね』と気の毒に思いました。

 

原因が視えたので、此れのお浄めの仕方を大神さまにお尋ねし、実行してもらうこととしました。

 

 

そして、ふたつ目のご相談事に入りました。

そこには同居する長男が、不安症と診断され休職中だと書いてありました。
また頻脈も出ていて、それに関しては、お母さまであるこの氏子さまにも起こっているようでした。

 

神殿に向かうこともなく、お話くださる氏子さまを通して、頭の中では別の映像を視せられていた私は、こうお聞きしました。

 

 

「息苦しくないですか?」

 

すると、
「はい、家にいると息苦しいです。そして、家にいたくないというか、落ち着かないんです。なんだか、家の“気”が変わったとでもいうのか…。」

 

「だと思います。水神さま“たち”のせいですよ。」

 

「え?水神さまは、庭に祀ってあり、長男が毎日きちんと水を替え、手を合わせています。」

 

「違います。そのお祀りしている水神さまではなくて、よそのところの水神さま“たち“が、たくさん家の敷地内に逃げて来ているのですよ。避難して来ているのです。人間で言うとちょうど、自然災害が起こった時に、体育館とかが急遽避難所になりますよね。とにかくひしめき合って、ぎゅうぎゅうで、プライバシーもなく。勿論それどころではないのですが、そんな状態です。なんて言うのか、人口密度ならぬ、水神さま密度が高いというのかな。そりゃあ、息苦しくもなりますよ。元々のこの敷地の水神さまがもっと強ければ、家人をしっかり護ってくださいますから、こんなにたくさんのよその水神さまたちは、入り込んで来れなかったのでしょうけどね。なにせ、ここの水神さまが、“無”ですもん。他の水神さまたちを呼んだ訳でもなければ、来るなとも追い返しもしていない。ここの水神さまが、知らんぷりしてるみたいにさえ映るこのお姿には、家人として気付きを覚えなければなりませんよ。それは、本来ならこの家土地の主であるご主人さまが、水神さまにも毎日手を合わせ、水を替えるべきなのです。しかし、それをご主人がなされないし、また先程の木の障りではないけど気付かないから、繰り上げ当選で長男さまに知らせが掛かっているのです。もし、今後もご主人に理解を求めるのが難しそうなら、今からお伝えする方法を試みてください。」

 

そう言って、私はそれをお伝えしました。

 

 

それにしても、何故、よその水神さまたちが、こんなにも視たことがないくらい、たくさんたくさん集まって来られたのかと考えていましたら、それを感じ取られたかのように、氏子さまがおっしゃいました。

 

 

「家の周りは、今、宅地造成のため、次々と開発中です。もうずーっと、すごい音がしています。」