2020年06月04日
それはあなたに・・
「お前の家は分かってるから、火を付けに行ってやる!待っとけよ‼」
いきなりの怒号から始まった、このセリフの男の正体が私にはすぐに分かりました。
「旦那が浮気してませんか?」と、妊娠中の女性がその日、御相談に来ました。大神さまは、不貞が是か非かは明言せぬものの、「三か月待ちなさい。そうすれば、終わる。だから、今後も夫とやっていきたいのなら、これを追及してはならぬ。知らないふりをしておくことじゃ。いいな。必ず戻る。」
と、念押しされました。
大神さまの的確な御神託に、開始早々、早くも霊視相談を終えてもいいかな・・と、思うくらいだったのですが、
「やっぱり‼○○って女ですよね⁉」
と、御神託に基づかないねじれの位置からのようなセリフが聞こえました。
「・・・固有名詞に関しては、以前、永続的に空き巣被害に遭われていた方が御相談に来られた時に、お訊ねもしないのに大神さまから犯人の名前を云われたことがあります。でもそれは、この方にとっては、犯人の素性を知ってもらった上で、それでも今後付き合っていかねばならない相手だったからです。(実は、近くに住む親戚でした。警察沙汰にはしにくいですものね。)それを加味して、これからは、笑顔で挨拶はするけれど、心で切って、用心・防犯をすることが得策だと、大神さまは敢えて名前を出された上での解決法を云われたのだと考えます。ところが、今回、大神さまがそこに触れられないのは、名前を挙げることに解決のための礎を置く必要がないからだと思います。あなたには、“あなたがどうあるべきか”に限るのではないでしょうか?」
と言うと、感情を抑えられぬ様子で
「私、旦那の携帯を見たんです‼見たこと言えないけど!」
と、実は大神さまを試していたことが判明しました。呆れると同時に怒りを超えて、拍子抜けもしました。
おいでになった理由は、犯人捜し?
これから、どうしたらいいのかを知りたいんじゃないの⁇
それでも、身重の苦悩は如何許りかと案じた私は、一旦、口を真一文字に結んでから、お帰りになられる玄関口までお見送りをし、最後にもう一度口にしました。
「三か月待つのですよ。自分と赤ちゃんのことだけを考えて、過ごしてくださいね。」
冒頭の電話は、それからの夜のことでした。
「俺の嫁に適当なことを言いやがって!女の名前まで嘘つきやがって‼」
『あぁ・・。御主人に言ったんだな。』とすぐに悟りました。
尚且つ、“私が御主人は浮気をしてると言った” そして“相手の女の名前も当てた”と、されていることにも気付きました。
「お言葉ですが、あなたの奥さまが、勝手にあなたの携帯を見て知ったのですよ!不貞も相手の女性の名も、神さまが決めつけたわけではありません‼」
と、言いたかった・・。
それが真実なんだし、余程、言おうか判断に迷いました。しかし、『旦那には携帯見たことを黙ってる』という御相談者のセリフ、そしてこのご主人の気性を鑑みると、伏せておくべきだと考えるのは容易いことでした。
「おっしゃりたいことは、それだけでしょうか?申し訳ございませんが、私、電話では予約の受付のみの会話と限らせて頂いております。お話がございましたら、予約を入れておいでください。」
そう言って、電話を切りました。
釈然としない気持ちの向け様は、どこにもありませんでした。
良識のある方でしたら、日を置いて冷静になればご報告頂戴することも稀有ではありませんが、その後、この夫婦がどうなったかは知りません。
また、こんなこともありました。
娘を持つ、ひとり親家庭の女性が来られました。
「私、夜働いていたんですが、彼氏が出来て同棲し、仕事も夜を辞めて昼間の事務に変えたんです。給料もすごく安くなりました。楽しくないし、我慢して家の事ばかりしてます。なのに、彼は営業の仕事なんですが、浮気してるみたいなんですよ。得意先のあちこちで。こんなんじゃ、ただのお手伝いですよね?」
と。華やかで持て囃されていた世界から、一気にモノクロの日常となり、仕事も夜のホステスとは時給が極端に違うことで、もう彼の素行抜きで彼女自身が、現状に飽和と疲弊を感じているのは目に余りました。
「彼の携帯を見て、怪しい番号を抜き出し、その取引先も場所が分かったし、受付事務の女にも電話を掛けました!もう、こんな男、別れた方がいいですよね?先生、背中を押してください。夜に戻ればお金も稼げるし、こんな家のことばかりしてなくていいし!」
「そうですね・・。私は、自分だけはビジョンが視えるのですが、証拠が出せないから申し訳ないのだけど、そのようですね。」
と、彼女が前に進むための御神託を云われる、大神さまの媒体に只々徹していました。
「ありがとうございます‼握手してください‼」
玄関から出られるまで、彼女が昂進していたのは明らかでした。
その週末の事です。どこかで見覚えのあるような、または聞き覚えのあるような、はたまた無いような、そんな名前の男性が時間外予約で来られました。定刻になり、待合室にお迎えに上がり、自己紹介のパンフレットを勧めようと差し出すも、目も合わせぬまま拒否。その顔は憮然としていました。
神殿にご案内し、荒い字で書かれた用紙と裸銭で一万円札(勿論、新券であるはずもありません。)を突き出され、受け取った辺りから、何となく感じ始めておりましたが、相談の内容に『浮気を疑われたこと』と、記してあるのを目にして確信を得ました。
「あぁ!あの彼女の!」
「俺は、やってないのに疑いを掛けられ、別れることになりました。」
「そうですか。で?文句言いにいらしたんですか?」
「ここで、言われたと、彼女が言いました。“違う”と言っても、じゃあ、自分で聞いて来ればと。」
「ちょっと待ってください。彼女は、ここであなたが浮気してると言われたから、別れると言ったんですか?理由はそれだけでしたか?」
「はい!疑いを掛けられて。」
私が、こらえることが出来たのは、もうここまででした。
「何なの‼この、しょうもない時間は??言いますけど、彼女は、別れたくて背中を押してもらいに来たんですよ!答えは既に用意されて来ていました!あなたとの現状に不満があることを彼女、あなたに言いましたか⁇それから、あなたの携帯見たことは?そして、あなたの取引先に行ったり、携帯から怪しげな番号を拾って勝手に電話を掛けたことは⁇あと、同棲の生活を維持するのに、自分の貯金だけが減ってる不満を持ってること、言われましたか⁇何にもそこら辺、聞いてないんですか?彼女は、あなたの浮気を別れる理由にしたんでしょうね。大神さまを利用して!」
私は立ち上がり、こう言いながら、先程の汚い裸銭を返し、
「お帰りください!忙しい中で時間外枠を捻出したのに、こんなしょうもないことに巻き込まれるなんて‼」
と、退出を促しました。
「すみませんでした・・。彼女が不満を言ったんですね・・。」
やっとそこに気付くと、打撃を食らったようで心底ショックな様子を見せたのです。靴を履いてからの男性は、芸能人の薬物謝罪会見の如く、深拝して出て行きました。
その直後、私はこの男性と御相談者である彼女へ、同時にメールを送りました。
“お二人とも、大神さまへの向き合い方が間違っておられます。二人の問題を二人で解決出来ていない時点で、破綻していることをお考えくださいませね。私は、もっと大神さまへ畏敬の念を持ち、全国から縋って来られる方々に資するために、此度を以てお二人とのご縁を解かせて頂きたく存じます。これまで、30年ほど奉務する中で、こんなこと初めてで、段々と驚きが怒りに変わっています。”(全文のまま)
本当にくだらない。
大神さま挟んで、“やったの、やってないの”の痴話げんか⁇
彼女が彼に言ってなかったこと(離別の理由が浮気だけでないこと)を伝える時、私は刹那的に守秘義務との狭間に葛藤を覚えました。
しかし、下手するとこの逆恨みから、命の危険も生じる訳です。(火を付けてやると言われたケースもありましたしね。)
相手に常識がないのに、私だけがそれを護る意義を見出せず、むしろ正当防衛だと考えました。
※私は、数多所有する資格の中で、ソーシャルワーカーとしての顔も持ちます。因って、このような両価的感情の元、守秘義務を破らざるを得なかったことについては洵に遺憾でした。勿論、皆さんのケースには当てはまらないでしょうから、ご安心ください。
そもそも、私は探偵じゃないんです。仮に証拠を挙げたって、認めない人は認めません。
再三、伝えていますが、私の役目は、皆さんの道開きのお手伝いです。そして、大神さまの通訳のようなものです。(ちょっとだけ、大神さま寄りの位置にいるかな?)
ですが、大神さまは、御相談者の悩みの解決の術として、この私にも内緒で、先を見据えるため、あるいは先で繋がるようにするために、小技を見せるようなことがあります。どういうことかと言いますと、『私ごと騙される』のです!当然、現在進行中の時ではなく、それらには後で気付くこととなりますけども。
そういう意味では、もしかしたら、この男性の言うように真実は“シロ”だったかもしれません。しかし、大神さまはそこにフォーカスを置かず、相談者である彼女の悩みを解決させるためのビジョンを私に視せたことになります。
あくまでも、あの時に御相談にいらしたのは彼女で、その彼女を救うための神託を云われる必要があったからでしょう。
“深慮遠謀”にて、そうされたのです。
大神さまが“私ごと騙す”のは、きっと、『私も人間だから』かな?と思っています。私が、感情を切り離すことが出来なさそうな時や、知り合いが来るとなった時、すぐネタばらししそうだからなのか、大神さまに聞いたこともありませんが。(笑)
妊娠中、生まれてくる赤ちゃんの性別を聞く方に、“望みの通り女の子”と言われましたが、実際は男の子が生まれました。私も映像まで視せられていたのですがね。でも、敢えて大神さまがそう言われたのには、意味があられたことを、後に知ることになりました。そう思ってお産を迎えた方が赤ちゃんは愛され、お母さんも妊娠中楽しめたからでした。(ここのお子さん上が三人みんな男の子なんです。)でも、当然無事生まれてくれば、もうどっちでも可愛いですよね!だから、そこまでをプロデュースして頂いたんでしょうね。優しい嘘です。
大神さまは、時々、格好ツケです。(笑)
そして、八方美人なところも・・。(この辺りは、またいつか!)
ところで、前回の『それでも自分で』のお便りの中身とは、今回少し違うことを伝えようと思索している私の真意を、先に挙げた二つのケース、これを以て皆さん、気付いてくれましたでしょうか?
・・・そうです。大正解‼
神殿の前で受けた御神託は、『あなたへ向けて』なのですよ‼ということです。
大神さまは、『あなたを助けるために、あなたに聞かせる言葉を云われている。』のです‼
道が開ければいいはずです。前に進めることが目的であるはずなんです。その為の御神託なんですよ‼‼
だから、『大神さま(あるいは私)に○○と言われた。』と、ましてや対極の位置にいる人間に言うことなど、あり得ないのです‼
※今回のように、親子・兄弟・姉妹・夫婦間などで、揉め事になっている時、どっちが正しいかなどと対立している時に、「あなたのことを、○○と言われたよ。」などと、大神さまを引き合いに出すことなど、“幼子以下の愚行”だと気付いてください‼
“相談に来る人の側に立った、あなたへ向けたメッセージ”
それを、勝手な自己都合や自己保身のために、使うべきではない。
時に私は、命の危険にさえさらされるのです!
その無責任な発言で‼
もし、第三者に言うことが解決に資するのなら、
「御神託で云われたと伝えてください。」
「私が言っていたと伝えていいですよ。後は、責任持ちます。」
と、私が自分で口添えしています。あるいは、霊障などのことを信じない相手には、こう言ってもらっています。
「夢に見ると言ってみて。」
誰も傷つかないように‥。
誤解が生じて、更におかしなことにならないように‥。
こんなセリフが私から出てもいないのに、勝手に巻き込まないで頂きたい。
そして、ただでさえ、誰よりも霊媒体質の私には、とんだ迷惑がもうひとつ。
知らないうちに、逆恨みの生霊もからうんです・・。