2025年05月15日

早くも

先日の昼間、ひとりでリビングにて執筆中、背後で音がした。

 

「スー、スー」
あきらかに寝息だ。

 

音の大きさからその距離感を判断すると、どうやら3人掛けのソファーの方から聞こえて来る。

いや、もしかしたら私のすぐ後ろの二人掛けソファーから向かいの壁へ反響して聴こえているのかもしれない。

でもそんなことは、どちらでも構わないのだ。

なぜならいずれのソファーにも誰もいないのだから。

 

私が振り返るとそれは止まる。
「え?止まった?」
そう思って、執筆を再開しようとすると背後でまた「スー、スー」と寝息が始まる。

 

私はまた振り返った。
執筆中に集中を切らせたくないが、今度はわざと3分ほど時間を掛けてソファーやその周り、そしてリビング全体を見回してみた。
そうすると、相手もこの3分間、気配を消したのである。

 

正体を探ろうともハッキリ視えない。
私は振り返るのをやめ、敢えて背中越しに霊視した。
直接視えないときは、霊視した方が確実なのだ。

 

 

30歳前後の軍装の男性、サーベルを横に置いて寝ていた。

 

なるほど。
軍人なら気配を消すことは充分に可能だろう。

 

まぁ、私に危害を加えるようなことは感じ得なかったし、どうやら気配を消せば気付かれないと思っているようだから放っておこうと考えた。

 

その後の夕方、私が集中していたこともあり、いつの間にか軍人の姿はなくなっていた。

 

そして、しばらくすると息子が帰宅。

 

「今日電車で帰って来たんだけどさ、ホームで友達と電車待ってるとき、子どもの泣き声が聞こえてきて、すっごく泣いてるからさ、『大丈夫かな?』と思ってそっちの方向見てみたら線路の真ん中に昔の青い着物?みたいなの着た男の子が座って泣いてた。友達は気付いてなかったんだよね。あれ、なんだったのかな。本物の子どもじゃないよね?」

 

この息子は私が阿弥陀さまを勧請するときに同時に夢をみたり、その前も数知れず霊体験をしているのだが、いまだに自分が視えることを自覚していない。

 

 

まぁ、巷で「私視えるのよねー」と自ら言う人ほど霊感ではなく主観であり、当てにならないものなのだが。

 

「その子が生きていた時代はその辺りの山を拓いて畑を作っていた場所だったみたいだね。きっと親が農作業に一生懸命の間、虫を追いかけて遊んだりしているうちに迷子になったとか滑落したとかだと思う。成仏できないまま、風景もあの頃と変わりどうしていいかわからず泣いてたんだね。でも分かってると思うけど、こういうときは自分に収める力がないなら下手に関わっちゃダメだからね。」

 

「はーい。」
息子は自分が視えていたことを特に驚きもせずそう返事して2階に上がって行った。

 

 

すると今度は私のそばにいた末の娘が、
「えっ?えーっ?」
と後ずさりをした。

 

「今度はあんたか!どうした?」
私はおかしくなって笑いながら聞いた。

 

「今、あそこから青い足が出てきた。」
そこは壁である。
人が入る隙間などない。

 

たまたまジーンズを履いていた私が、
「その足、ママだよ。」
とふざけると、娘は私の足元をじっくり眺め
「違うよ。あの足は靴下が赤だったもん。」
と言った。

 

確かに、その時の私の靴下はグレーだった。

 

そして、
「なんで、〇〇ちゃん霊が視える子どもなの?視えるようにってお願いして生んだの?」
と、難癖をつけられた。

 

そんなことするはずがない。
そんなこと出来るわけもない。
が、おそらくこの子が私の子どもたちの中で、いちばん霊的感性が高い。

文句のひとつくらい言われたところで、共感出来るエピソードは山ほどある。

 

怖い話の流行り時期、夏はこれからなのにすでに我が家は先取りである。
というより、うちはオールシーズンであることを忘れてはならない。

 

 

さて、お知らせです。

 

前回の『神職のお便り』で書籍が初夏に出版される見込みであることをお伝えしておりました。
ところが、あれからKADOKAWA内でコミック編集部担当者と文芸映像事業局担当者たちが話し合いをしてくださった結果、どうやら漫画を先にスタートさせる案が有力となっているそうです。

 

加えてコミック編集者より

「金城先生は物書きとしての活動はされてないですよね?一回の原稿であれだけ仕上がってくるのは非常に珍しいことなんです。普通は有名な作家さんたちでも校閲にものすごく時間が掛かります。原稿も添削して赤字だらけになるのです。きっと金城先生は、この先いろんな版元から『〇〇について書いてください』など、依頼が来ると思います。物書きとして活動なさってもよいと思います。作家として充分行けますよ。」
と思ってもみなかった言葉を頂戴しました。

 

そして
「これはもう、漫画の原作も金城先生が書けますね。それで行きましょう!」
と、更に思ってもいなかった言葉もいただきました。

というわけで、ありがたくも忙しくなったわけです。

 

 

そこで今、小説を書き始めました。

それが終わらないと書籍もお預け状態のままですから、しのごの言わずやるのみです。笑

 

もちろん奉務も心理療法も並行して参ります。
ただ、ランダムにお休みをいただいたり、執筆に集中するためにお休みの日は予約電話の電源を落とすことがあるかもしれません。
色々とご迷惑をお掛けすることもあるでしょうが、頑張りますのでどうぞよろしくお願いいたします。